ファンタジーは困難を乗り越える力になる

病院のベッドの上でだって夢は叶う

今から十数年前、アトピーで人生のどん底にいた私を救ってくれたのは
自然療法、そして映画「パッチ・アダムストゥルー・ストーリー」。
パッチに憧れ背中を追いかけて、気づけば私もクラウンになっていました。

映画「パッチ・アダムストゥルー・ストーリー」の中で私が好きなシーンの一つ。
パッチが仲間たちと入院中のおじいさんの夢を叶えてあげるシーンがあります。

パッチは夜中に仲間と病院に忍び込み、
病室のベッドで寝ているおじいさんの手のひらにそっとゴム鉄砲を置きます。
足の裏をパチンと指ではじいておじいさんを起こすと
パッチたちはバルーンで作った象やワニなどでおじいさんを襲撃。
おじいさんは手元あったゴム鉄砲で一匹残らず仕留め、
同じ病室の人たちは拍手喝采。
そして、おじいさんは幸せそうな笑顔で言います。

「望みが叶ったよ。死ぬまでにもう一度サファリに行きたかったんだ!」
「ありがとう」

枕元には若い頃、サファリで撮影した写真を飾っていたおじいさん。
病院のベッドの上であっても、私たち人間が持っている「空想の力」で過去未来、世界のどこへだって行くことができます。

今日は、私がMRI装置の中で「空想の力」に助けられた体験をご紹介します。

初めてのMRI検査

今年7月中旬、私は体調不良で産婦人科へ。
そこで子宮筋腫があることがわかりました。
全く自覚症状がなかったのでとても驚きました。
※現在は自然療法で治療し快方に向かっています。

産婦人科を受診した数日後、MRI検査をすることになり不安な気持ちを抱えたまま紹介先の病院へ。
受付を済ませ、記入するように渡された問診票を見るなり私は逃げ出したくなりました。

実は私、かなりの閉所恐怖症。
問診票の「閉所恐怖症ですか?」という文字を目にした瞬間思考は停止。
手が冷たくなり震えているのがわかりました。

なんとか気持ちを落ち着け、検査着に着替えて待っていると
検査技師から「静脈注射を打ちますね」という言葉が。
普段ならそこまで注射に緊張しないのですが
不意の「静脈注射」という単語が不安な気持ちに追い打ちをかけ
心臓が口から飛び出しそうなくらい緊張が高まりました。

私は少しでも落ち着こうと思いトイレの場所を聞きましたが、検査技師の返事は
「膀胱に尿が溜まっている方が撮影しやすいので検査が終わるまで15分ほど我慢できますか?」
という言葉。
次から次へと予想していなかった言葉に襲われ、私の気持ちは重くなっていくばかりでした。

不安でいっぱい中、検査台へ。
検査技師は「閉所恐怖症ですよね。もしも検査中に無理になったらこのボタンを押してください。機械音がかなり大きいので呼ばれても声は聞こえません。遠慮しなくていいですから、押してくださいね。」
と言い、コールボタンとヘッドホンを私に手渡しました。

「怖くなったら遠慮なく押そう!」
と何度も何度も自分に言い聞かせ、
検査台に向かいました。

〇〇の力で不安が笑顔に変わった!

機械の中は想像以上に狭く、
すぐ目の前に天井が迫っていました。
とにかく外に出たい!!と思い
首を少しあげて足先の方向を見ると
かろうじて機械の外の様子が見えました。
外と繋がっていると思うと少し不安は和らぎました。

しかし、今度は機械音に悩まされます。

ギーコギーコ
ガガガガガガ
ドンドンドンドン

まるですぐ横で工事をしているみたい。
ヘッドホンから流れる音楽は全く効果がなく、
この音が15分も続くと思うと
また心臓がバクバクしてきました。

その時ふと思い出したのが冒頭に紹介した映画「パッチ・アダムス トゥルー・ストーリ」の中の別のシーン。

それはパッチが仲間たちと一緒に森の中にある建物をメンテナンスする場面。
パッチは精神病院で患者同士として知り合った大富豪からこの建物を買い取り、誰もが無料で診察を受けることができるクリニックにしようとしていました。
夢の実現に向けて仲間と協力する、観ているだけで気持ちが高まる場面です。

私はMRI装置の中でその場面を思い出した瞬間、クラウンスイッチon!
夢のクリニック建設工事に一緒に参加させてもらうことにしたのです。

目をつむってMRIの機械音に集中します。
頭の中にはパッチやクラウンの仲間が登場。
MRIの音に合わせて、金槌で木の柱をトントン。
のこぎりで丸太をギーコギーコ。

トントントントン
ギーコギーコ
ガガガガガガ
ドンドンドンドン

みんなで笑い合って声を掛け合って、にぎやかにクリニックの建設は進んでいきます。

しばらくして意識はMRI装置の中にいる私に戻ってきました。
まだMRI検査は終わらないのかな…と思いましたがどのくらい経過したのかわかりません。

そこで私はまた目をつむり、機械音に合わせて、仲間たちと作業を再開。

私は夢のような時間に楽しくて嬉しくて、気がつけばMRI装置の中でひとりで
ニコニコしていました。

ファンタジーは困難を乗り越える力になる

病気だから、病院だから不謹慎だなんて思わずに
人間に備わった「空想する」という力を使って
まずは心を軽く、明るくする。

心が上向きになって、前向きなれば
治療を頑張ろうという勇気が湧いてきます。

病気だけじゃなく、仕事や普段の生活の中でもきっと助けになってくれるはず。

ファンタジーは子供だけのものじゃない。
むしろ大人にこそ必要なものなのではないかと思います。