祈り

祈り

辿り着いた初めてのその建物は
届くほどのそこにいて
呼び名を変えた運命を
怒りもせず悲しみもせず
空とともに祈ってほしいと
ちいさく私につぶやく

初めて鳴らす その鐘の音は
大切な人の琴線を
拳ではなく
透明色の両手のひらで守れという 

いま私はゆるし色のペンをやさしく握り
この地の空の祈りを力強く記す 

すべてのいのちに
おのずから朽ちる
美しさを与えよ

すべてのいのちに
おのずから朽ちる
美しさを与えよ

(2018/4/30 poetry Tomoko Shimoji)

・。・。・。・。・。・。・。・。・。

2018年4月の終わり、
初めて広島平和記念公園を訪れました。
原爆ドームは想像よりもはるかに小さく、
すぐ手が届きそうな距離にあって、
自分の心が何を感じているのかもわからず
ただただ見つめるしかありませんでした。

どうしてもカメラを向けることができず
風景は心に残しました。

原爆ドームは元々は広島県物産陳列館という名。
戦争によって名前を変えられてしまったのです。
戦争とはこういうことなんだと思いました。
「広島県物産陳列館」を建設した大工さんたちはどんな気持ちだっただろうか。
ワイワイと笑顔で集う人々を想像し、
さらなる産業の発展を祈って「広島県物産陳列館」の看板を掲げただろうにと。

誰もが、何もが生まれてそのままを生きて自然に朽ち果てる。
それが平和だと思いました。